奄美ならではの材料を使った、金属アレルギー対応のアクセサリー「Create」

島モノ

2022/12/15

ペン

勝 朝子

世界三大織物の一つとも称される奄美大島の伝統工芸、本場奄美大島紬。高度成長期には特に人気が高まり、島内で盛んに生産されました。当時、奄美大島の多くの女性たちが家に機(はた)を置き、大島紬を織っていたと言われています。

大島紬を織る工程では、途中で必ず多少の余り糸が出てしまいます。大島紬の糸は、出来上がるまでにたくさんの工程を経て、多くの人の手と時間をかけて作られたもの。なので、その余った糸はもったいなくて捨てられず、今でもそのまま大切に保管している家が多いそう。

(2022年 あまみハンドメイド大賞受賞式にて:前列左から2人目が與さん)

そのような余った紬糸を利用して作ったアクセサリーを作っているのが、奄美で大人気のブランド「Create(クリエイト)」(以下、Create)です。

ハンドメイドのクリエイターが多いと言われる奄美大島ですが、そのクリエイターたちが集まるモノづくりのコンテスト「あまみハンドメイド大賞」で2度も賞を受賞している実力派です。

そのCreateのアクセサリーを作っている與 優華あたえ ゆか)さんにお話を聞きました。

数々の作品が生み出されるCreateの工房

與さんの工房は自宅の一部。
シンプルな工房には、たくさんのアクセサリー・パーツや色とりどりの大島紬の糸が整然と棚に収納されていました。そうした材料に囲まれた机で與さんが制作作業をしていました。

工房の一角には、與さんのいろいろな作品が飾られています。
2022年開催のあまみハンドメイド大賞での入賞作品もありました。

大島紬の余り糸を使ったり、染物の技法を使ったパーツで作った、島ならではのアクセサリー。アクセサリーに使って余った糸をさらに再利用したバッグ。どの作品も與さんのアイデアや手法が随所に発揮されています。

與さんは奄美大島出身。島内の高校を卒業後、島を出て首都圏で進学、就職。そして東日本大震災後、島にUターン。アクセサリーを作り始めたのは高校卒業後からだそう。

「私自身、もともと金属などのアレルギーがあったので、買ってきたアクセサリーの部品をノンアレルギーの部品に付け替えたりして使っていました。が、付け替えるよりも、いっそのこと自分で気に入ったものを作ってみよう、と思って作り始めたんです。」

「だから、私の作るアクセサリーはすべて樹脂やステンレス、アレルギーを起こしにくい素材に24金や18金のコーティングをしたもので作っているんですよ。」

島のものを使ったアクセサリー

工房にあるアクセサリーの中でも、特に目を引くのは、色とりどりの大島紬糸を使ったアクセサリーです。

「大島紬の糸をアクセサリーにしようと思ったのは、なぜですか?」

「近所に住む知り合いから「祖母が大島紬の機織りをしていたので、織って余った糸があるから使って」と言われて糸を頂いたのがきっかけでした。

自分はアクセサリー作りをしていたので、それを使ってピアスやネックレスなどを作ってみたところ、「糸がこんなふうに生まれ変わるなんて!」と大変喜んで頂いて、とても嬉しかったです。」

大島紬の糸は出来上がるまでに気が遠くなるほどの工程と時間をかけて作られています。それを考えると、ほんの少しの糸でも捨てるのは忍びないですね。與さんはアクセサリーを作って残ったさらに短い糸切れの再利用も考えているそうです。

大島紬の伝統柄「龍郷柄」のモチーフのピアスもありました。
龍郷柄のパーツは、與さんがデザインして工場に特注して18金コーティングで作ってもらっているそう。

「大島紬の糸以外にも島のもので作ったアクセサリーは、島外の人にとても喜ばれました。アクセサリーを通して島に興味を持ってくれる人も増えてきたので嬉しくて、より一層島のものを使って作るようになりました。」

そこで、島で盛んな泥染めや藍染めなどの染物にも挑戦。

藍染のほかにも島みかんやモクマオウ、フクギ、ハイビスカスなど島の植物でも草木染めをしたり、木など布以外のものを染めてみたり、アイデアは尽きないそう。さらに新たなアクセサリーが生まれそうですね。

クオリティーの高さは徹底した使用テストから

自分の使いたいアクセサリーを作っているので、與さんのアクセサリー作りには妥協はありません。
作ったものは、自分はもちろん、妹や友人など数人に1か月使用してもらい、使用感をチェックします。

「やはり、アクセサリーはしばらく使ってみないと、使いやすさや強度、環境による変化などがわかりません。使って何か問題があれば、納得がいくまで作り直します。」

それは、工場に特注しているパーツでも同じ。
「リーフのピアスは、最初に作ってもらったものでは試しで使っているうちに色が変わってきてしまったので、24金コーティングで作り直してもらいました。やはりアクセサリーは自分の気に入ったものを長く使ってもらいたいですから。」

クオリティにとことんこだわったモノづくりを行っている與さん。
Createのアクセサリーなら安心して着けられるというお客様も多く、その人気の高さがうかがえます。

「問題があったことや、失敗したことなどはありますか?」

「それはもう、ありすぎる程あります(笑)。
たとえば、この藍染やフクギ染のウッドパーツですが、色をキープするために表面にワックスを塗ってみたのです。が、試しに使っていてある時、車のダッシュボードに置いて車を降りてしまったんです。そしたら、車に戻ってきたらワックスがドロドロに溶けてしまっていて。それからいろいろなコーティングを試して、最終的に現在使用している「蜜蠟(みつろう)」にたどり着きました。」

1か月間いろいろな状況で試して、納得のいくまで作り直しているからこその結論。使う側でもあるクリエイターならではの商品になっているのですね。

子供向けのワークショップも大人気

とにかく作ることが大好きな與さん。工房には、アクセサリー以外にもいろいろな作品がありました。

自分で作るだけでなく、ダイヤモンドアート、糸かけ曼荼羅、ワックスシーリング、レジン、アロマストーンづくり、そしてもちろんアクセサリー作りなど、子供向けにいろいろなワークショップを不定期で開催しています。

與さんの都合が合えば開催してもらえるそうなので、やってみたい人はまずはご相談を。

Createのアクセサリーが気になったら

Createのアクセサリーは、奄美大島ではあやまる岬にあるカフェ「みしょらんカフェ」、名瀬のお土産セレクトショップ「okuru amami」で購入可能。

ネットでは「minne」、CreateのInstagramのDM(ダイレクト・メッセージ)で受け付けています。

一つ一つ手作りしているので、時間があれば注文生産にも応じてもらえるそう。CreateのInstagramのDMで連絡してみてください。

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この記事を書いたフォトライター

勝 朝子

勝 朝子

Webクリエイター、ITサポーター、奄美大島紬のポケットチーフ「フィックスポン奄美」代表。東京出身。縁あって奄美大島出身の夫と結婚。以来毎年奄美大島を訪れ、2012年奄美大島に移住。奄美の自然、人、文化、食べ物が大好きで、島の隅々まで日々探検中!

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